日本国首相 安倍晋三様
日本の国民ほど、核がもたらす惨事に苦しめられてきた人々は他にありません。過去66年ほどの間に、日本の国土は3回も放射性物質による汚染を経験しました。産業社会の利益を実現するための強い重圧を受けているにもかかわらず、日本政府がこれまでのところ、人々の声に耳を傾け、原子力発電所の大半を稼働させていないことは賞賛に値すると考えます。
インドの人々は過去60年間、原子力発電の経験を通じて教訓を学んできました。原発予定地では圧倒的多数の住民たちが、政府が継続しているプロパガンダにも負けず原発計画に反対しています。あなたの訪印前夜にインド各地で実施された抗議活動の写真を、この手紙に同封します。
わたしたちは印日の二国間関係の発展を望んでいます。しかし、その健全で持久的な発展を実現するには、人々の声に耳を傾け、人々の長期的利益を反映したものにする必要があります。原子炉を輸出し原子力プラントの整備を後押しすることは、この目的に合致しません。インドは核不拡散条約(NPT)に調印しておらず、核兵器開発に積極的に取り組んでいるのですから、なおのことそうです。短期的な経済的利益のために未来世代の幸福を犠牲にするべきではありません。
ナラヤン・デサイ
アヌムクティ・グループ