日印原子力協定に、両国からノーの声を!

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フクシマを否認するインド政府

インド核エネルギー省はフクシマの事故をいまだに受入れようとしていません。事態が悪化し続けていた2011年3月11日、同省幹部は事故ではなく通常のメインテナンス訓練に過ぎないと語っていました。フクシマ後に政府が行った安全性の再検討は内部的なものにとどまり、そこで示された不十分な提言すら、昨年稼働したクダンクラム原発(南インド)では実行に移されませんでした。原子力規制当局の元担当者を含む多くの科学者が、規制当局の権限が不十分で、安全に関する意識が見かけ倒しに過ぎないことに疑問を呈しています。インド会計監査局は昨年、同国原子力規制委員会について、規制対象である原子力省からの独立性が確保されていないと指摘しています。

フクシマの事故は発生から3年が過ぎた今も現在進行形であり、放射能が人々の生活を危険に晒しています。しかしインド政府はフクシマの事故を終わったものとして考えています。閣僚が議会に対し昨年8月、フクシマの事故が人々に及ぼし得る影響について「実質的に重要ではない」と述べています。

しかしインドの草の根の原発反対運動や反核団体は、フクシマの事態を注視しています。フクシマの事故の写真や次々に明らかになる新事実が、彼らの反対運動を強め続けています。彼らは彼らの生活基盤や、次世代の安全性に懸念を抱いているのです。

日印原子力協定に反対 連帯イベント

原発に反対している日本のみなさんへ、

原発に反対するインド市民からナマステ!

私は7月29日から8月10日にかけて日本を訪れ、多くの催しに参加します。大阪での平和問題に関する会議(詳しくはhttp://www.zenko-peace.com/zenko-conf をご覧ください)や、8月6日の広島市での平和祈念式典、フクシマでの住民グループとの交流などが予定されています。

今回、私が日本を訪れる第一の目的は、日本とインドの原子力協定に反対の声を上げることです。その協定は両政府間で交渉の最終段階にあり、インド首相が近く日本を訪れる際に合意に達する可能性があります。インドの人々は、この協定が結ばれれば何百万もの貧しい人々に苦難と生命の危機がもたらされるとして、強く反対しています。

私は7月31日に東京の外国人特派員協会(FCCJ)で記者会見します。また各党の国会議員や外務官僚とも面会し、原子力協定に反対するインドの人々の声を伝えるつもりです。私たちは、企業社会の利益や軍事協力ばかりを追い求める日印関係ではない、もっと良い形での2国間関係を求めています。

また私は8月8日、定例の金曜日夜の首相官邸前抗議にも参加します。

皆さん、日印原子力協定に反対する声を上げるため、皆さんの支援とご協力を心からお願いいたします。私たちが原子力協定に反対する理由を書いた簡単なリーフレットを同封します。
上記の催しに皆さんが参加していただければ、大変うれしく思います。

私のEメールアドレス(PC)は pksundaram@gmail.com です。

親愛を込めて
クマール ・スンダーラム
核軍縮平和連合(CNDP)、インド

時代に逆行し拡大するインドの核開発
  • 核技術は独立後のインドにとって近代化の夢であった。人々はそれを支持し、核エネルギー省は過度な影響力を持つにいたった。
  • インドの核開発計画が公式にスタートしたのは1948年であり、世界で最も早い時期に開発を始めた国の一つ。
  • しかしインドの原子力発電は実績に乏しい。今日、総発電量に占める割合は3%に過ぎない。
  • 核兵器開発部門は秘密のベールに包まれており、関連施設周辺に住む人々の懸念は、何十年間も無視され続けている。
  • 転機となったのは2005年。米国が、1974年のインド核実験を受けて導入されたインドとの核技術の取引禁止措置を撤回した。
  • 上記の取引に際しインドは米国、フランス、ロシアなどから原子炉を輸入すると約束した。入札や費用対効果の分析は実施されなかった。
  • インド政府がフクシマの事態を受け入れず、自国民に暴力をふるいながら原子炉を押しつけているのは、この約束を果たすためである。
  • インドは2052年までに、現在の原発の発電量(5870メガワット)を100倍加する計画である。

日印原子力協定に、両国市民が連帯して反対しなければならない理由

今年5月のインド総選挙で大勝し就任したインド新首相が近く東京を訪れます。日本との原子力協定の締結交渉をまとめる可能性があります。この協定の締結交渉は日本国内の原子力産業からの強い圧力があるにも関わらず、またインドへの原発輸出計画実現のために日本企業が製造する部品を必要としている米国やフランスからの圧力があるにも関わらず、いまだに未決着です。

この協定はインドの時代錯誤的な原発拡大政策を後押しするもので、インドで最も弱い立場にある住民に苦難をもたらすことになります。フクシマ後の世界において、インドは原発推進を強力に進めようとする数少ない国の一つです。草の根では、各地のプラント計画に人々が強く反対しています。

インド政府は新たな核施設建設計画を遂行する上で障害となるあらゆる物を、まるでブルドーザーのように強引に押し切ろうとしています――安全基準の希薄化と無意味化、人々に銃口を向けつつ環境影響評価上の許可を押し通し、核関連事業の透明性を損なうこと、事業の採算性に関するアドバイスを無視すること、草の根の民主的な原発反対運動を力で押しつぶすこと、核施設の提供メーカーを事故時の賠償責任から解放する努力――。インドの複数の地域で、既存のプラントや新規原発計画に反対する大規模で草の根的な抗議運動が続いています。しかし政府は罪のない農民、漁民、女性、子供が挙げるこうした声に対し、暴力で応えています。政府は反原発運動の参加者を「国家安全保障上の脅威」と位置付けています。また最近、日本人を含む複数の外国人反核活動家を国外に追放しています。

この協定の締結はインド核武装の正当性にお墨付きを与え、南アジアの核兵器開発競争をさらに激化させることでもあります。輸入核燃料で原発開発を進められれば、インドは国内で産出する核物質をすべて核兵器開発に振り向けることができるからです。

インドと日本の意識ある市民たちは、この核協定に反対してきました。今年初めに安倍晋三首相がインドを訪問した時には、国内で何千人もがポスターを掲げる抗議集会に参加しました。市民団体の著名な代表たちが安倍首相と彼の妻に、核協定の再考を求める手紙を送りました。インドでの抗議に連帯する集会が、東京や大阪でも開かれました。

フクシマ後のいま、日印両国にとって、原子力ではなく再生可能エネルギーの開発でこそ、協力していくのが賢明な選択肢です。エネルギー消費モデルを再考し、新たなモデルを生み出すことが求められます。日本は今、フクシマの教訓を学び、この新しい「エネルギー革命」を実現する歴史的好機を迎えています。一方インドは経済発展の入り口に立ち、12億人の生活に大きな影響を与える選択をしようとしています。その選択をする上で、フクシマの教訓と、日本とのあるべき協力関係とを適切に利用することができる立場にあります。

企業社会主導で、核兵器開発への危険性をはらむ日印核協定に「ノー」の声を響き渡らせ、市民主導で人間中心の日印関係に「イエス」の意思を示すことが、人類の未来にとって重要であることを確信しています。

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